乳幼児突然死症候群(SIDS)対策の推進については、かねてより御高配をいただいているところですが、本年度においては、別添実施要綱のとおり、11月1日(土)から11月30日(日)までの1か月間を、令和7年度乳幼児突然死症候群(SIDS)対策強化月間として、重点的に普及啓発運動を実施することとしますので、それぞれの地域の特性を勘案の上、関係行政機関、関係団体等と連携し、効果的な推進が図られるよう格段の御配慮をお願いします。
さらに、日本医師会等の関係団体等に対し当職より協力を依頼したところであり、貴職におかれても、貴管内の関係機関等への周知をお願いします。
また、乳幼児突然死症候群(SIDS)の診断のための「乳幼児突然死症候群(SIDS)診断ガイドライン(第2版)(https://www.cfa.go.jp/policies/boshihoken/kenkou/sids/guideline)」
(厚生労働科学研究(成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業)「乳幼児突然死症候群(SIDS)および乳幼児突発性危急事態(ALTE)の病態解明および予防法開発に向けた複数領域専門家による統合的研究」)の内容の周知・普及にも十分な御留意を併せてお願いします。
なお、本通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4の規定に基づく技術的助言です。
令和7年度乳幼児突然死症候群(SIDS)対策強化月間実施要綱
1 名 称
乳幼児突然死症候群(SIDS)対策強化月間
2 趣 旨
乳幼児突然死症候群(SIDS)とは、何の予兆や既往歴もないまま乳幼児に突然の死をもたらす疾患であり、乳児の死亡原因の上位を占めていることから、その発症の低減を図るための対応が強く求められている。
また、これまでの研究により、「1歳になるまでは、寝かせる時はあおむけに寝かせる」、「できるだけ母乳で育てる」、「保護者等のたばこをやめる」ことは乳幼児突然死症候群(SIDS)発症の危険性を低くするというデータが得られている。
これらを踏まえ、平成11年度より11月を乳幼児突然死症候群(SIDS)対策強化月間と定め、乳幼児突然死症候群(SIDS)に対する社会的関心の喚起を図るとともに、重点的な普及啓発活動を実施してきたところであるが、令和7年度においても同様に、11月の対策強化月間を中心として、関係行政機関、関係団体等において各種の普及啓発活動を行うなど、乳幼児突然死症候群(SIDS)の予防に関する取組の推進を図るものである。
なお、11月を対策強化月間と定める理由は、12月以降の冬期に乳幼児突然死症候群(SIDS)が発症する傾向があり、発症の予防に対する普及啓発を重点的に行う必要があるためである。
3 期 日
令和7年11月1日(土)から令和7年11月30日(日)
ただし、地域の実情に応じ、期間延長等の変更は差し支えない。
4 主 唱
こども家庭庁
5 協 力
健やか親子21推進本部(別紙2)
6 実施方法
(1)こども家庭庁
こども家庭庁は、関係行政機関、関係団体等と連携し、乳幼児突然死症候群(SIDS)の診断のための「乳幼児突然死症候群(SIDS)診断ガイドライン(第2版)」(別紙1)の内容の周知・普及並びに推奨すべき育児習慣等について、全国的な普及啓発活動の推進を図るため、次の取組を行う。
- 普及啓発用ポスター及びリーフレットの活用により全国的な普及啓発活動を展開する。(こども家庭庁ホームページに掲載し、自由にダウンロードして活用いただく)
- 健やか親子21推進本部参加団体に対して周知及び普及について協力を依頼する。
- 関係行政機関、関係団体等を通じて、医療機関等に対し、「乳幼児突然死症候群(SIDS)診断ガイドライン(第2版)」(別紙1)の内容を参考とし、検案を行う際は、乳幼児突然死症候群(SIDS)と虐待や窒息事故とを鑑別するために、的確な対応を行うこと、必要に応じ、保護者に対し解剖を受けることを勧めることを依頼する。
(2)都道府県、保健所設置市及び特別区
都道府県、保健所設置市及び特別区は、関係行政機関、関係団体等との連携を密にし、それぞれの地域の実情に応じた広報計画及び実施計画を作成し、次の例を参考にしながら乳幼児突然死症候群(SIDS)の予防に関する普及啓発活動を推進する。
なお、都道府県においては、市町村を含めた普及啓発活動の展開を図るなど、地域全体が一体となった取組が図られるよう留意する。
また、取組に当たっては、乳幼児突然死症候群(SIDS)の診断のための「乳幼児突然死症候群(SIDS)診断ガイドライン(第2版)」(別紙1)の内容の周知・普及にも十分留意する。
<例>
① ポスター、リーフレット等の配布等による啓発活動の実施
- こども家庭庁が作成した普及啓発用ポスター、リーフレットデザインを活用し、地域の特性に応じた方法により、効率的、効果的な普及啓発活動を展開する。
- 家庭だけではなく、児童福祉施設や医療機関等に対する啓発活動を実施する。
- 市区町村窓口等において、リーフレットを配布する。
② 研修会、講習会、講演会、シンポジウム、街頭キャンペーン等を実施する。
③ 妊産婦・乳幼児健康診査等の機会を利用し、子育て中の家庭への呼びかけ等を行う。
乳幼児突然死症候群(SIDS)診断ガイドライン(第2版)
定義
それまでの健康状態および既往歴からその死亡が予測できず、しかも死亡状況調査および解剖検査によってもその原因が同定されない、原則として1歳未満の児に突然の死をもたらした症候群。
疾患概念
主として睡眠中に発症し、日本での発症頻度はおおよそ出生6,000~7,000人に1人と推定され、生後2ヵ月から6ヵ月に多く、稀には1歳以上で発症することがある。
診断
乳幼児突然死症候群(SIDS)の診断は剖検および死亡状況調査に基づいて行う。やむをえず解剖がなされない場合および死亡状況調査が実施されない場合は、診断が不可能である。従って、死亡診断書(死体検案書)の死因分類は「12.不詳」とする。
解剖
原因不明の乳幼児の突然死と判断されたら、警察に届け出る。検視ののち法医解剖あるいは病理解剖を行う。
鑑別診断
乳幼児突然死症候群(SIDS)は除外診断ではなく一つの疾患単位であり、その診断のためには、乳幼児突然死症候群(SIDS)以外に突然の死をもたらす疾患および窒息や虐待などの外因死との鑑別が必要である。診断分類は日本SIDS・乳幼児突然死予防学会の分類を参照する(表)。
問診チェックリスト
乳幼児突然死症候群(SIDS)の診断に際しては「問診・チェックリスト」を死亡状況調査に活用する。

解剖による診断分類
(日本SIDS・乳幼児突然死予防学会)
乳幼児突然死症候群(SIDS)診断ガイドライン(第2版)
厚生労働省SIDS研究班 2012年(平成24年)10月
http://plaza.umin.ac.jp/sids/
- 乳幼児突然死症候群 (SIDS)
- a. 典型的SIDS:解剖で異常を認めないか、生命に危機を及ぼす肉眼的所見を認めない。軽微な所見を認めるものの死因とは断定できない。
- b. 非典型的SIDS:無視はできないものの死因とは断定できない病変を認める。
- 既知の疾患による病死
急死を説明しうる基礎疾患を証明できる。 - 外因死
剖検において外因の根拠が示される。 - 分類不能の乳幼児突然死
- a.剖検施行症例:死亡状況調査や剖検を含む様々な検討でも、病死と外因死の鑑別ができない。
- b.剖検非施行症例:剖検が実施されず臨床経過や死亡状況調査からも死因を推定できない。



